香港発の大ヒットシリーズ
「インファナル・アフェア」。
先日、Mizさんにお借りしていたトリロジーボックスを二日間かけて観ました。
1日目はⅠとⅡ。そして2日目にⅢと予告編・メイキングなどを観賞。
警察に潜入したマフィアの男・ラウ(アンディ・ラウ)。
そしてマフィアの組織に潜入した、潜入捜査官ヤン(トニー・レオン)。
それぞれスパイとして敵側に潜入した二人の男たちの人生・苦悩・葛藤を描いた
サスペンス・ドラマ。あまりにも緻密な脚本にハリウッドが高額でリメイク権を
獲得したことでも有名。
そして現在、リメイクされた
「ディパーテッド」が公開しております。
私が一番好きなのはⅠですが、Ⅱ・Ⅲともに登場人物の過去、そして未来を
緻密な脚本でキャラクターの人生を丁寧に描き出していて、
とても見ごたえがあるものとなっていました。
【ストーリー】
マフィアの組員・ラウ(アンディ・ラウ)は、警察の内部情報を入手するため
香港警察に入隊。時を同じくして、警察学校に入隊したヤン(トニー・レオン)は、
ずば抜けた資質を見出され、マフィア組織に潜入捜査官として抜擢され、
警察を去ることに…。
しかし10年後、ラウは内部調査課の課長に昇進して、恋人との結婚を控え
順風満帆な人生。一方で、ヤンは長期に渡る潜入捜査で自分自身を見失いかけ、
カウンセリングに通っていた。
ある夜、大きな麻薬取引の際に、マフィアと警察双方の情報が流出したことで、
それぞれ内通者がいることに気づく。
そして警察でラウが、マフィア組織ではヤンがそれぞれボスから、
内通者を探り出すよう命じられる…。
【感想】
運命は皮肉なもので、ラウ、ヤンともに敵地に潜入するくらいだから、
相当優秀なわけで、順調にキャリアを積んで昇進していきます。
そしてラウは昇進するにつれて、キャリアと恋人との結婚控え、日の当たる
場所での生活を手放しがたくなります。一方ヤンは警察官でありながら、
自分を偽りマフィアの一員として生きていくことに疲弊しきってしまいます。
さらに、2人は内通者を探し出す任務を任され、いつ足元が崩れ落ちるか
分からない局面に立たされてしまうため、映画は息つくヒマもないほど
画面に食い入ってしまいました。
変にロマンスを描きすぎないところも好感持てました。
なんと言っても、この映画の見所は対極にいる2人の男の人生が、
時に近づきギリギリのところですれ違い、いつ接触しぶつかりあうか…
とゆう部分だと思うので、軸をしっかり保っていて良かったです。
Ⅱのストーリーは、そんな彼らの若い頃。ラウが警察に入隊したワケや、
ヤンが潜入捜査官となるまでの詳細を描き、どんな人生を歩んで来たのか…。
とゆう部分にスポットを当てています。
街のチンピラだったラウは、ボスの奥さん・マリーに恋をして彼女の望むとおり、
香港警察に入隊。しかし彼女は夫に夢中で、ラウの片思い。マリーは少なからず、
ラウの気持ちに気づいているのに、その恋心すらも夫を昇進させるために
利用する悪女ぶりがなかなか。
愛する男のためになら、どんなことでもやる。一途で非情な面を気持ちいいくらいに
描いてます。恋した相手が悪かったよ。ラウ。
つまりラウはマリーの虜にならなければ潜入することもないし、
マフィアの一員になることもなかったわけです。
(↑警察学校に入るには前科ナシが条件)
だから、ラウが10年後に、まっとうに生きる道が目の前にあるのに…と
警察でのキャリアを棒に振りたくないと考えるのも納得。
一方、ヤンにも潜入捜査官となる前にちょっとした事件?が。
彼の父親はマフィアのドンだったとゆう過去を持っていたこともあって、
それが原因で警察学校を退学させられる、しかしその血筋を逆に利用して、
潜入捜査官として送り込まれることに。彼にとっては、警察官でありたい
気持ちが強いから、藁にもすがる気持ちで潜入捜査官の道を選ぶことになる。
たぶん、彼は父親のことを憎んでいるのか、反発しているからこそ、
警察官としての人生に執着が強いのでしょう。
それなのに、名実ともにマフィアとしてのし上がっていくことは、
彼の意思に相反するため、精神のバランスを崩してしまったのでしょうね。
Ⅲは、Ⅰの後のラウの人生、そしてⅠでは語られなかったヤンの唯一幸せだった
ひと時を描いてます。実はこれが一番分かりづらかった。
映画としては面白かったけど、特になくても良かったかなーというのが正直なとこ。
でもⅡで過去を描いたからには、やっぱりⅠのその後も知りたくなるのがファン心理。
シリーズのファンのための映画だな…と思って観てました。
【映画を観て思うこと感じたままの感想】
人は自分の居場所を求めるものだけれど、それは環境なのか、理解者なのか。
双方そろっていれば何もいうことはないけれど、人の心は複雑で、演じることに
慣れてしまうと、無理をしていることすらも気づけなくなる。
人は自分の心に無理があるときに、自動的に納得できるように理由付けをして
心の軌道修正を図る。それに気づかないまま暴走すると、歪が生まれる。
※※ネタバレあり※※
Ⅲでラウはヤンの分も、警察官として生きようとするプレッシャーと、
自分の立場を危うくする者の排除に躍起になるあまり、自分自身を見失っていきます。
ラウはヤンになりたい気持ちと、見えない敵に脅える日々に心身ともに疲れてしまう姿は
「いっそのこと殺してくれ」とラウが叫んでいるように見えました。
(映画では直接的な表現はないけれど)
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