今年のアカデミー賞で、ジェニファー・ハドソンが助演女優賞を受賞して
注目された
『ドリームガールズ』(2006・アメリカ)。
この映画は音楽はもちろんですが、登場人物が魅力的。
主人公はビヨンセ演じるディーナだけど、やっぱり目立つのは
エフィ(ジェニファー・ハドソン)の力強い歌声と存在感。
さすが、アカデミー賞助演女優賞を受賞しただけある。
魂を揺さぶる歌声に震えと涙が止まらなかった。
舞台は1962年のデトロイト。
仲良しの女の子3人組、エフィー、ローレル、ディーナは
歌で成功するため、毎夜オーディションなどに出場していた。
そんな彼女たちの実力にいち早く気づいたのが、
後に彼女たちのプロデューサーとなる、カーティス。
そして彼の手腕により、彼女たちは人気スターのバックコーラスを経て、
ドリームガールとしてデビューし、スターダムを駆けのぼるが…!?
という、お話。
でもこの映画の魅力はエフィの歌だけではない。
登場人物それぞれのドラマがしっかり描かれている。
とくに音楽・恋愛・人生すべてにおいてドロッドロとした人間模様が待ち受けている。
苦難の連続が続く中、やっとのことで手にした栄光。
しかし成功なんて一夜の夢のようなもので、永遠には続かず、
いつしか音楽に対する情熱よりも、「成功」を優先するようになる。
心のどこかで「何かが違う」と思い虚しさすらも感じているけれど、
それを見ようとしない…というよりも見たくない。
そんな葛藤が描かれているところが好きだな。
また上手いのが、光と影の描き方。
作中、エフィはリードボーカルから外され、ディーナがメインに抜擢。
しまいにエフィはグループから追放される。しかし一度は華やかな世界から
身を引くものの、エフィは場末のバーでやっと歌う場を手にする。
その時の歌声は震えが来た…。
魂を揺さぶる迫力あるエフィの歌声は、
人生の酸いも甘いも知った大人が集うバーが良く似合う。
反対に、華やかなテレビの世界で軽やかでキャッチーな歌を
歌い上げるディーナはテレビ向き。だけどテレビでヒット曲を出すにつれて
能面のような表情なのが印象的。キレイな顔立ちなだけに、ちと怖い。
そんな彼女も後半、凍った魂を解放する歌を歌い上げる。
その時の顔は、めちゃくちゃ大口で顔が崩れるけれど、すごく素敵。
良いことも悪いことも永遠には続かない。
成功を収めることで得るもの、失うものもあるけれど、
人生どん底に落ちたように思っても、それを挽回するのは自分次第。
現実と向き合う勇気さえあれば、チャンスはまた訪れる。
そんなふうに勇気づけられる。
【自分の壁をぶち破って、チャンスをつかめ!】
★★★★☆
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